「AO・推薦入試進学者は内定が取れない」というデマ③

 

お読みくださり、ありがとうございます。

成熟時代をたくましく生き抜くキャリア戦略をお伝えする

ヘルメスゼミ(R)のULTRA(R)マスター・トレーナー、

クロイワ正一です。

 

7年前(2013年4月)にリセマムさんに提供した記事が

「大学入試改革」をそのまま予言していると好評でしたので

ここに再掲載させていただきます。

 

今回のコラムでは、

大学受験におけるAO入試や推薦入試へのチャレンジが

就職活動にもたらす効用についてお話します。

 

2013年3月15日、推薦入試の導入について

記者会見を開いた東京大学は、

その理由について、このように説明しました。

 

「従来のテストで把握できない資質や、

優れた人材を発掘し、多様な人材を採りたい」(佐藤慎一・副学長)。

 

AO・推薦入試と一般入試の相違点は、

前者では「学究意欲や社会貢献意欲を述べる志望動機」

の提出を求められますが、

後者では一部の医療関係学部を除き、

そうした書類の提出は求められないことです。

 

私が高校や予備校などから依頼される指導内容も、

一番多いのは、この「志望理由書対策」です。

多くの大学では、志望理由書に盛り込む内容として、

以下の3点を求めてきます。

 

・大学で学びたいこと(近未来)

・大学で学んだことを活かして取り組みたい仕事(遠未来)

・未来展望を抱いたきっかけ(現在・過去)

 

「遠未来、近未来、現在・過去」とは、

『推薦・AO入試!超マニュアル』(KKロングセラーズ、1999年)や

『志望理由書の模範的書き方』(ライオン社、2002)を執筆した際に、

私が独自に創った表現です。

そして、現在では多くの指導書や指導現場でも使われており、

この領域の指導では半ば固定化した表現になっています。

 

こうした書類を完成させるためには、

必然的に「受験する学部ではどのようなことが学べるか」とか

「学部卒業後にはどのような仕事があるか」といったことを、

学校案内や公式サイトで調べる必要性に迫られます。

いわば、これから数年後までの「人生の予習」をするようなものです。

 

私が、AO・推薦入試を説明する際に

「今までの自分の人生を振り返り、将来を設計する入試です」

という表現を用いるのは、こうした背景があるためです。

 

このようなキャリアデザインを早期から考えていれば、

就職活動もスムーズに進みます。

受けるべき講義も、就職からの「逆算」によって定まってきますし、

ゼミや研究室で指導を受けるべき教官の目星も早々とつきます。

 

すると、就職活動でエントリーシートを書くときも、

面接を受ける際にも、

「私は自分が専攻した学問を活かすべく、貴社に入りたい。

そのようなことを高校生のときから考えていた」といったことを

堂々と表明できるのです。

 

坂上吾一・太一(ともに仮名)兄弟という、

とても印象に残っている教え子がいます。

二人とも、同じ私立大学の法学部政治学科にAO入試で入学しました。

 

吾一くんの志望動機は、以下のような内容でした。

「幼少期から神社の祭りなどに参加し、

 地域コミュニティーの大切さを実感してきた。

 それゆえ、政治学科で地方自治を学び、

 将来は公務員になるか地方自治を支援する仕事に就きたい」。

 

一方、太一くんは、次のようにまとめました。

「小学生時代、ケーブルテレビの番組に子どもキャスターとして

 参加していたことがある。身近で起こっていることをお話しすることと、

 それに対して視聴者からコメントをもらうことがとても楽しかった。

 以後、中学・高校でも新聞部に属し、取材・記事執筆などを続けてきた。

 そこで、学部ではマスコミの役割について学び、将来はメディアで働きたい」と。

 

二人とも、高校の先生からは「一般入試ではハードルが高い」と言われていましたが、

見事AO入試で合格し、念願の学びの機会を手に入れることができました。

 

そして、吾一くんは、大手シンクタンクに就職し、

IT技術で地方自治を支援しています。

太一くんは、大手広告代理店と全国紙の内定をダブルで獲得し、

後者に入社しました。

そして、数年前から教育の地域格差について独自の取材を続けています。

 

私は「AO・推薦入試で大学に入ると内定を獲得できない」といった類のデマを聞くたびに、

この二人だけでなく、これらの入試を経由して大学に入り、

社会の第一線で活躍している幾多の教え子たちの顔を思い出し、

失笑してしまいます。

と同時に、そのような根も葉もない噂によって

こころを傷めている現役大学生がいるかもしれないことを想像すると、

悲しみと憤りが込み上げてきます。

 

高度情報社会は、利便性を提供してくれる半面、

私たちを不条理な脅威にも晒します。

 

こと大学受験に関しても、メディアリテラシー、

すなわち

「批判精神を持ってメディアから流れてくる情報に接する姿勢」

の必要性を痛感します。

 

以上

 

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